やせっぽち寄稿文

主に邦楽関連の記事を扱っております。

f:id:zz-1:20190814032053p:image

【椎名林檎/公然の秘密】歌詞の意味を考察 林檎節全開の大人すぎる恋の歌を紐解く


椎名林檎「公然の秘密」

どこまでも色っぽくて香り高い。ドラマ「時効警察はじめました」の主題歌で、ベストアルバム「ニュートンの林檎 ~初めてのベスト盤~」にも収録される大人な恋の歌です。

YouTubeではMVも公開中。


椎名林檎 - 公然の秘密 椎名林檎 より

豪華面々によるパフォーマンスは必見です。

 

この記事ではその歌詞に注目して、楽曲を紐解いていければと思います。

 

 

 

 

歌詞解釈

一曲を通じて椎名林檎さんは”恋”香水のように扱っており、恋愛対象となる彼の魅力が”匂い”として漂っています。

 

1番

どこからか漂う 美味しそうな匂い
逃れられないの一旦嗅いだら最後よ 

くらくら鎧跟けちゃう 拐かす匂い
秘密という名で評判のフレーバーよ

公然の秘密 作詞 椎名林檎

いったん落ちてしまえば、決して逃れられないのが恋というもの。さらにここでは”秘密”というフレーバーが彼女を魅了しています。秘密の恋。他の人にはバレることなく、自分だけが彼の魅力に気付いている、というスリルがよろけてしまうほど魅力的なのです。

「拐かす」は「誘拐する」ことを指す言葉。

「鎧跟けちゃう」は当て字で「よろけちゃう」。鎧は「遊び相手」、「跟ける」は「後をこっそり追う」という意味があるので秘密の恋を暗示しているものと思われます。林檎節炸裂。

Aメロ一つとっても恋に対して俯瞰的で、恋に落ちていく自分を楽しんでいるような余裕を感じます。”恋愛真っただ中”みたいな視点ではなく、アダルトな雰囲気が既に漂っていますね。

 

 

秘すれば花ね本当噂通りで堪んない
自分を誰し込んだ本体突き止めたい 

公然の秘密 作詞 椎名林檎

 「秘すれば花」は能の世界の言葉で、「予想外の展開に人は感動するものであり、それを予想させないように演じるのが芸である」ということ。彼の隠された魅力が「秘すれば花」の言葉通りそそられるものだった様です。

「誰し込んだ」も当て字で、本来は「誑し込んだ」。「たらしこんだ」と読み、「年若い異性をうまくだますこと」を指します。誰が、或いは誰の何が自分を恋に陥れたのかを突き止めたい、という願望。完全に自ら恋に犯されにいってます。大人な歌詞。

 

 

ほらご覧隠したってみえみえ…嘘を
乗せたトップノートああ近いようね
初々しいバニラ そう甘やかでしょ

公然の秘密 作詞 椎名林檎

 曲名の「公然の秘密」の意味は、秘密であることにはなっているが、広く世間に知れ渡ってしまっていること」。

秘密のフレーバーが漂う恋ではあるものの、実際傍から見ればみえみえの恋なのです。彼の魅力もきっと彼女だけのものではありません。ただ、”秘密の恋”という体にしてそのフレーバーを楽しんでいる彼女。なんて大人なんだ…

「トップノート」は香水をつけて最初に感じる香りのこと。”秘密”という嘘を乗せた恋は、はじめはバニラのように初々しく甘い、というわけです。

 

間奏前の林檎さんの「ギター」という掛け声がまたこの上なく艶っぽい。

 

 

 

2番

とろとろ蕩けちゃう 抱え切れぬ恋
秘密といういま流行のフレーバーの 

公然の秘密 作詞 椎名林檎 

秘密という香り漂う、抱えきれない恋。抱えきれていないので、やはり”公然の秘密” なのでしょう。

この楽曲を通して歌われる「匂い」が何から発せられるのか、という点に関しては様々な解釈が可能だと思いますが、当記事ではこの「秘密といういま流行のフレーバーの (恋)」という歌詞を基に、”匂いの発生源は恋である” という前提で解釈を進めています。

彼の魅力を自分だけが知っている(ことになっている)恋が彼女を魅了しているのです。

 

主に成り果てて噂立ったら堪んない
自分を化かし通し首尾よく諦めたい
眼は逸らしたってばればれ…悔いを
残すラストノートああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ 

公然の秘密 作詞 椎名林檎

 一応 ”秘密” という体でやっているので、彼の魅力が主体になってうわさが広がっちゃうと我慢ならないのでしょう。

そしてあくまで自分を「化かす」、すなわち判断力を鈍らせ通して、最後はうまいこと諦めてしまいたいのです。噂だって秘密の恋ではなくなる前に。そこまで見越して恋するって恐ろしい。

そして恋愛のラストノート、最後の香りは思い通りにいかず、スパイシーでほろ苦い。

そんなアダルトな恋したことないので私には解りかねますが、林檎さんくらいになるともはやその苦みを楽しんでいるようにすら思えます。

 

これで恋愛は終わったかに見えるのですが、実はラストノートは香水の香りの中で最も持続時間が長い香りでして。まだ恋心は冷めちゃいないようです。

 

 

 

騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い

公然の秘密 作詞 椎名林檎

 ここなんか特に色っぽいというか、とんでもない歌詞だな、というか。

「罰は受けるハッピーエンドをお願い」なんてもうラブソングとして異質ですよね。「もう一度だけ会いたい」とか「忘れたい」とかではなく、「罰は受けるハッピーエンドをお願い」。

この曲の主人公はそもそも ”恋のフレーバー” を楽しみたいだけであって、はじめっから頃合いを見て諦めたいと思っているんです。だから、彼女にとってのハッピーエンドは下手に恋心が残ってしまうことではなく、香りが楽しめなくなったら何か罰を受けて恋心を捨ててしまうこと。

どんだけ大人な恋なんだ、って感じですよね。そんな歌詞まず書けない。林檎さんらしさみたいなものを感じずにはいられません。

 

 

頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい 

公然の秘密 作詞 椎名林檎

「ジゴロ」は「女性から貢がれて生活する男、またそれくらい魅力的な男性」のこと。

「憖」は「中途半端に」。チョコレートのように芳しく、まだまだ彼女は男性に夢中。

どうやら罰を受けるハッピーエンドにはいまだたどり着けていないようです。そしてまだまだ男性を独り占めにしていたい、と。

「嫌だ嫌だ」ではなく「厭だ厭だ」と漢字を当てるだけで、不思議なもので途端に色っぽくなっているように感じます。

どこまでも大人な恋の歌。圧巻です…

 

 

まとめ

どこまでも色っぽく艶やかな楽曲。

平易に言えばラブソングなのだけれど、そこらのラブソングには到底醸し出せないような大人なフレーバーが漂っています。

「罰を受けるハッピーエンドをお願い」 なんて歌詞まあ書けないし、そんな大人な恋なんてしたこともない。さすが林檎さん、と称えるほかないです。

どんどん艶美になっていく椎名林檎。まだお聴きでない方は、ぜひご賞味を。

 

 

おすすめ記事はこちら

www.slight-article.work

 

 

f:id:zz-1:20190814211901p:plain
f:id:zz-1:20190814212429p:plain
おすすめ記事一覧

【天気の子】主題歌の考察まとめ

【Official髭男dism/ビンテージ】美しすぎる歌詞を考察

【King Gnu/傘】頼りない自分へ歌う新時代の失恋ソング。

ブロガー向けの記事はこちら


新着記事