やせっぽち寄稿文

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【さユり/航海の唄】歌詞の意味を考察 ”それでもの先”にさユりが描いたものとは?


さユり「航海の唄」

”後悔”ではなく”航海”の唄。”酸欠少女”さユりが新章の幕開けを告げた、エネルギーにあふれる一曲です。TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」第4期EDテーマ。

YouTubeではMVも公開中です。


酸欠少女さユり『航海の唄』MV(short ver.) TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」第4期EDテーマ / MY HERO ACADEMIA ED - About a Voyage 

酸欠少女 さユり(Sanketsu-girl Sayuri) より

デビューシングル「ミカヅキ」、1stアルバム「ミカヅキの航海」のその先の未来が描かれており、過去の彼女の楽曲を彷彿とさせるような言い回しも歌詞の中には登場します。

ここではその歌詞に注目して、楽曲の魅力を紐解いていければと思います!

 

 

歌詞解釈

1番

手にしたい光がある君は今

寄る辺も無くひとりで岐路に立つ

もう後戻りできぬように、と今

横切る不安を殺して帰路を断つ

航海の唄 作詞 さユり 

孤独なままひとり分かれ道に立ち、後戻りできぬよう帰り道を絶つ。

”君”の底知れぬ不安と、強い覚悟が伝わってきます。

「寄る辺も無くひとりで」。どんな過去があったのかは語られませんが、”君”は一人ぼっち。岐路に立ち、どちらに進むべきかもわからない。それでも、絶対に後戻りはしないという強い意志が見えます。

「岐路に立つ」「帰路を絶つ」という言葉遊びが憎らしいほどおしゃれですね。

 

 

失いがたい光だった 優しい易しい あいだった

それでも、君は行くんだろ

足りないものは足りないままで構わないよ、

今から探しにいこう

航海の唄 作詞 さユり 

光や”あい”を失うとしても、君は行くんだろう。

愛が「あい」とひらがな表記にされているのが印象的。優しいものであると同時に手に入れるのが簡単で、何も挑戦しなくても得られてしまう”易しい”もの、ということで「あい」と表記されたのではないでしょうか。

きっとここで立ち止まったままでいても、家族や友人は受け入れてくれるでしょう。それでも、”君”は前に進むのです。

 

「足りないものは足りないままで構わないよ」はデビューシングル「ミカヅキ」の歌詞を連想させます。

それでも 誰かと比べてばっか
周りを見ては立ち止まって
欠けたものを探した そんな自分を変えたい

ミカヅキ 作詞 さユり 

欠けたものを探した過去を後悔していた「ミカヅキ」。今作「航海の唄」では、そんな彼女はもういません。

"君"に「今から探しにいこう」と呼びかける、ずっと前向きな彼女が歌っているのです。

 

 

強さは要らない 何も持って無くていい

信じるそれだけでいい

この先でどんな痛みが襲ってもそれだけが君を救うだろう

臆せず 歩き出せ

航海の唄 作詞 さユり 

ただ信じて歩き出せ と、少年マンガ的な前向きなメッセージが歌われています。

とにかく前を向いて、一歩目を踏み出せ。

新しい道を進もうとする”君”へ贈る、まさしく希望の唄としての歌詞です。

決して内省的ではない、新しい”さユり”が垣間見えます。

 

 

2番

印は無い一生を“今日“という瞬間に切り分けて

一歩に息を吹き込んでいる

醜さも晒しながら静かにめくりめく日常に

理想に身を焦がす

航海の唄 作詞 さユり 

2番冒頭は、走り出そうとする"君"の苦悩の描写。

ただ広がっている膨大な時間に意味を見出して、めまいがするような日常の中で理想に身を焦がす。”身を焦がす”という表現は通常恋愛に対して用いられる言葉ですから、それだけ”君”にとっての「理想」の追求は堪え難い感情なのでしょう。

 

ベースがメロディーを切り分けていくかのようにリズムを刻んでいるのが粋ですね。

 

 

ねぇ目を閉じて 心を聞いて

見つめた願い今もまだ歌い続けてる 月の下

立ち向かう足が震えていたって間違いじゃない

迷っても逃げたくはない

航海の唄 作詞 さユり 

「見つめた願い今もまだ歌い続けてる 月の下」という歌詞は明らかに、「ミカヅキ」の歌詞を意識したものだと思われます。

 

それでも 誰かに見つけて欲しくて
夜空見上げて叫んでいる
泣き出したいけど 泣き出さない
もう後戻りなどできない  ねぇ 

ミカヅキ 作詞 さユり 

 「ミカヅキ」は綺麗な満月の下、欠点を抱えた希望の見えない少女が ”それでも” と願いを叫ぶ楽曲。

「ねぇ目を閉じて 心を聞いて 見つめた願い 今もまだ歌い続けてる 月の下」

この歌詞を考慮すると、「航海の唄」に登場する ”君” は実は ”さユり” 自身なのではないか、と考えることもできます。月の下で歌っているのは”君”ではなく、自分のために「ミカヅキ」を歌う”さユり”なのですから。

 

 立ち向かう足が震えていたって間違いじゃないよ、と語りかけている相手は、曲を聴いている”君”であり、曲を歌っている彼女自身でもあるのです。

 

 

選んだ未来は誰も知らない夜を縫い 

彷徨う君だけの海

無傷では何も勝ち取れないと知って

動き出した呼吸を捉えたよ

まだ 明日に届かなくても

航海の唄 作詞 さユり 

 一歩を踏み出した君には誰も知らない未来が待っている。前に進まないと何も得られないと知り、動き出した呼吸を捉えた。

呼吸が動き出しただけで、”まだ明日には届かなくても”、とあることからまだ”君"は動き出していない様子。出航前夜といったところでしょう。

不安を抱え、”あい”にすがっていた”君”は、いよいよ何かを得るために走り出します。

 

 

破れた地図の先を記し始めた 

海の真ん中 正解なんて無いね 

分かっていても痛むもの

ねぇ、多くを望んでる?

いるわけじゃない

ただ無くせないもの一つ守るために

新しい扉の先 船は進んでく

航海の唄 作詞 さユり 

 ただ無くすことなどできない、信じたものを守るために。

 痛みが襲おうと、海の真ん中で船は進んでいきます。

「新たな地図の先」とかではなく「破れた地図の先」とあることから、昔はまっすぐに未来を描いていた”君”がいて、何か苦しみに直面して希望が見えなくなって、それでも前を向いて…という物語が暗に示されているようにも思います。

確かな希望と覚悟を抱いて新しい扉の先を進み始めた”君” 、そして”酸欠少女”さユり。

これからの楽曲での展開が非常に楽しみです!

 

 

感想・まとめ

後悔ではなく航海の唄”酸欠少女”さユりの新章の幕開けです。

これまでの彼女の楽曲は聴き手に寄り添うような楽曲や、自分に言い聞かせるような楽曲が多かったように思います。

そんな彼女が、この楽曲では勢い良く走り出しました。「ミカヅキ」の”それでも”の先に描いた、強い覚悟と希望

足りないものは足りないままで。後悔なんてすることなく。彼女は歌い続けます。

「航海の唄」。私たちを前に突き動かすような、そんなエネルギーに溢れる力強い楽曲です!

 

 

 

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