やせっぽち寄稿文

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【King Gnu/ 傘】歌詞の意味を考察 美しすぎる心理描写に心酔せよ


King Gnu「傘」。

”「さよなら」という運命を受け止められない自分 ”を、” 運命を受け入れようとする自分 "という俯瞰的な視点から描いた革新的な一曲です。

斬新な切り口で、聴く者すべてを曲の世界へと引きずり込みます。

 

ブルボン「アルフォート」のCMのために書き下ろされており、現在ブルボン公式Youtubeにてスペシャルムービーが公開されています。


【公式】ブルボン アルフォート×King Gnu SPECIAL MOVIE「青を味方に。」篇(出演:坂口健太郎)

 

 

歌詞解釈

記事の冒頭でも触れましたが、この曲は終始 ” 理性的な自分 " という視点から、" 現実から逃れようとする自分 "へ問いかけるような形で進行していきます。

 

さよなら ハイになったふりしたって
心模様は 土砂降りだよ
傘も持たずにどこへ行くの?
あれこれ 不安になったって
どうしようもない ”運命でしょ?”
曇りガラス越しのあなたには
もう何も届いちゃいない 

傘 作詞 Daiki Tsuneda

 取り繕ったって心はズタボロだし、いまさら運命は変えられやしない。

だけどそんな声も、感情的になった自分にはもう届いてなどいない。

 

ここでは土砂降りの中、激情にかられた自分は家の外へと走り出していて、俯瞰的で理性的な自分はそれをガラス越しに眺めています。

現実に家を飛び出したと考えるよりは、主人公の精神状態の比喩と捉えるべきでしょう。

誰かとの別れ "さよなら ”を受け入れられず、不安に駆られて居ても立っても居られない。どこかで別れが”運命”だと諦めていたって、それを飲み込むことなんてできっこない。そんな状況を新たな視点から鮮やかに描写しているのです。

 

「傘も持たずにどこへ行くの?」という表現から、感傷的になっている主人公の心情が窺えます。傷つくだけだとわかっていながら、傷つきながらでも運命から逃れようと足掻く姿が。

 

 

3回目のアラームで
ようやく起き上がれそうな朝
眠い目を擦りながら
顔を洗って コーヒーを流し込め

傘 作詞 Daiki Tsuneda

夢と現実の間を彷徨い、なかなか起き上がれない朝。

目を覚まして現実と向き合え。

 

ここでは朝の行動の描写を通して、間接的に自分に現実と向き合うよう訴えかけているように感じます。

2回アラームを無視して、夢の世界に逃げ込んでいる自分。だけど、顔を洗ってコーヒーを流し込んで、いい加減現実を見据えろと自らに働きかけるのです。

 

運命から逃れようとする姿を「3回目のアラームで…」と表現し、自分に対して「コーヒーを流し込め」と命令系を使って現実を唱える常田さんの感性にはほれぼれしますね。

 

 

運命なんてハナから
信じきれやしないよな
深読みのし過ぎばかりじゃ
満たされやしなくて


もっと話したいんだ
もっと近づきたいんだ
遠くで眺めていたくは無いよな
どんな時だって

傘 作詞 Daiki Tsuneda

運命なんて受け入れられやしないよな。もっと大切な人と触れていたいよな。

Bメロではここまでの歌詞から一転して、主人公の心情に寄り添った歌詞が展開されます。白日と同じような展開です。主人公の中にいる、もう一人の自分。運命なんか信じられるものじゃないよな、と、逃避行を続ける自分に肯定的な心中です。

 

この歌詞があることにより、自分への命令・問いかけばかりで単調だった歌詞に緩急が生まれ、この後のサビの歌詞がより鋭利なものとなっています。

全く逆のことを訴える歌詞を一人のボーカルが歌うとなんだか違和感がありますが、メインボーカルを切り替えることでスムーズに場面転換が行われるところがツインボーカルのKing Gnuらしいですね。

 

 

さよなら ハイになったふりしたって
心模様は 土砂降りだよ
傘も持たずにどこへ行くの?
あれこれ 不安になったって
どうしようもない ”運命でしょ?”
曇りガラス越しのあなたには
もう何も届いちゃいない

傘 作詞 Daiki Tsuneda

Bメロでの自分を突き放すように、サビでは再び現実を突きつけます。

”さよなら” という鋭いフレーズで入ることで、場面がひっくり返るように明確に切り替わっていますね。

自分を土砂降りの心模様から守ってくれる「傘」、言い換えれば、悲しみを和らげてくれる「理性」といったものを一切持たずに、走り出した主人公。

そんな自分を、もはや止めることなんてできない。

 

美しい描写のセンスにはただただ脱帽です…

 

 

2番

 

ガラス片を避けながら

直行直帰 寝落ちる毎日さ

満員電車 息を潜め 

鳴り響いた ベルが発車の合図さ

傘 作詞 Daiki Tsuneda

 ここでは1番のAメロから時間が経過。

目を覚ました主人公は満員電車に乗り込みます。

Bメロへ向けた場面転換です。

 

大切な人との別れを通じ、主人公の心の中で何かが壊れてしまった。

思い出・理性といったものが崩れ、かえってそれが自らを傷つけてしまうものになってしまった。

そんな様子が「ガラス片避けながら」という歌詞で暗示されているように思います。

 

 

 

繋いだ手 確かめた

確かに僕らここにいたのさ

寄せては返す波の中を

必死に立っていたんだ

 

幸運なんかありはしないよな

ただのレースとは違うよな

巷で流れるラブソングの 

ようにはいかないよね

傘 作詞 Daiki Tsuneda

確かに、僕らはここで立ってたんだ。

時や人の流れの中、必死に立っていたんだ。

現実から目を背け、ただそこにあったはずのを追いかける主人公。

しかし、運命は非情です。

レースのように走っていればゴールに近づける保証もなければ、巷のラブソングのように幸せな結末を迎えられるわけでもなかった。

 

「確かにここにいたのさ」という表現が指す場所として、「満員電車」をAメロで用意しているような感じがします。

 

このBメロがカッコよすぎて無限にリピートしちゃってるのはきっと私だけではないはず。

 

結局は愛がどうとか分からないよ 未だに

そう言い放った自分の頼りない背中を見た

 

さよなら ハイになったふりしたって
心模様は 土砂降りだよ
傘も持たずにどこへ行くの?
あれこれ 不安になったって
どうしようもない ”運命でしょ?”
曇りガラス越しのあなたには
もう何も届いちゃいないんだ

傘 作詞 Daiki Tsuneda

運命なんて信じられやしない。確かに僕らはここにいた。

だけどラブソングのようになんかいかなかった。

 

”もう愛がどうとかわからないよ”

そう言い放った主人公は、傘なんて持たずに土砂降りの中を走り出します。

運命を飲み込めず現実逃避に走る自分の、頼りない背中。

 

人間の表面的ではない本能を描いているような、そんなえぐさを秘めた美しい楽曲です。

 

 

まとめ

"「さよなら」という運命を飲み込めずにもがく自分"を、"運命を受け入れようとする自分"という俯瞰的な視点から描いた革新的な楽曲。

 


運命なんてちんけな言葉だけで、この別れを片付けたくはない。

だけど目を覚ませば、君のいない現実がそこにはある。

「理性」という傘を持たず、雨模様の街へ一心不乱に駆け出した主人公の心情を、新たな視点で描くことで鮮やかに表現しています。

 


ただ悲観的に現実を歌うだけではなく、Bメロで主人公の思いに寄り添うことで歌詞に緩急が生まれていますね。

メインボーカルが切り替わることでそんな視点の変更が鮮やかに行われるところがいかにもKing Gnuらしいです。

 

King Gnu「傘」。
描写のセンスが光り輝く、新時代の美しい一曲です。

 

 

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