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【歌詞解釈】King Gnu『Slumberland』感想と歌詞解釈!社会を揶揄する衝撃作


アルバム「Sympa」収録、King Gnu 「Slumberland」。直訳は「まどろみの国」といったところでしょうか。世相を斬り捨てた痛切にアイロニックな一曲です。

ミュージックステーションにKing Gnuが出演した際もこの曲が披露され、その奇抜なパフォーマンスが注目を集めました。

早速解説していきます!

楽曲について

テレビ界隈を中心に、社会に強烈な疑問符を打ち付けたこの楽曲。拡声器を用いた歌唱も大きな特徴の一つです。タイトルの「Slumberland」、「まどろみの国」は恐らく東京、ひいては日本を指しているものだろうと推測できます。私たちの見ている「日々の営み」という幻想から目を覚ませ。そう訴えかける歌詞は、一見ありがちな題材でありながら他の楽曲とは一線を画す圧倒的なクールさを含蓄しています。

MVもまた攻撃的で、拡声器片手にニュースステーションに突っ込んでいく姿はとにかくかっこいい。 狂っているようでいてニュース番組を盛大に揶揄している、最高のMV。必見です。これをMステで歌っちゃうところがまたかっこいい。

このMVだけ見ると後ろで変顔かましてる井口さんはただの狂人にしか見えないんですが、他の曲ではめちゃくちゃクールに美声を披露されているので誤解のないように…(?)

ボーカルを切り替えることで全く異なる世界観を生み出せるっていうのは非常に魅力的です。

 

歌詞解釈

日本における「日々の営み」を徹底的に叩き上げる本楽曲。まずはワイドショーを潰しにかかります。

TVステーションでは今日も
騒ぎ立てているコメンテーター
耳障りで狂言めいた
遠い世界の話ばかりだな

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

大したことのない情報を、無闇に膨らませて騒ぎ立てるコメンテーター。当然事実を番組向けに改変しているわけだから、全くもって自分の世界の事だとは思えない。

ここでは、報じ方が問題視されるようになった現代の情報番組を揶揄しています。最近でも、文脈を無視した悪意のある切り取りや明らかな誇張はよく取り沙汰されています。
このような現実から遠く離れたメディアの存在を「遠い世界の話ばかりだな」と真っ向から否定しています。

 

正義もヘッタクレもない
悪事も結託すりゃバレないな
甘い蜜だけを吸っていたい
薄っぺらいピエロはあっちへ行きな

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

ここでは否定の対象を一般化。もちろんテレビ局への批判とも取ることができます。

悪事だって警察や行政と組んで情報操作してしまえばバレやしない。メディアに限って言えば、局にとって不都合な情報は報じなければ国民にバレやしない。そんな現状に、そこには正義もクソもないと一蹴しています。

「薄っぺらいピエロ」は勿論比喩。メディアで言うところのコメンテーターにあたります。その場だけの薄っぺらい仮面を被って、ニュースに対して当たり障りのないコメントをする。実際自分は事件に何も関わっちゃいないのに、それを餌に自分は出演料を得る。そんな奴はテレビにいらねえ。清々しいメディア批判です。

 

ここまでが、この「Slumberland」における現状に対する批判。サビでは一般大衆に向けて、そんな社会のおかしさに気づくよう訴えかけます。

 

“Wake up people in Tokyo Daydream”

Open your eyes, open eyes wide.
目を覚ませ、目を凝らせ
Rock'n roller sing only ‘bout love and life.
所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ

“Wake up people in Tokyo Daydream.”

Open your eyes, open eyes wide.
目を覚ませ、目を凝らせ
It could be the start of something new tonight.
今夜、真っ新から始めよう

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

日本語部分は公式の訳なので実際に歌われるわけではありません。

「Wake up people in Tokyo Daydream」。

直訳すると、「東京の白昼夢の中で目を覚ませ」となります。ここでいう「Tokyo Daydream」はここまでの歌詞で訴えてきた、情報番組・社会の白昼夢のようにおかしな現状でしょう。そして人々は今「Tokyo Daydream」の中にいる。夢の中にいるわけですから、当然それが狂っているということに人々は気づいていないわけです。目を覚まして、目を凝らして、真実を見つめてくれ。そんなメッセージだと受け取ることができます。

「Rock'n roller sing only ‘bout love and life.」という一文が皮肉めいていてこの上なくかっこいい。「所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ」。しかしながら、ここまでの歌詞で彼らが歌ってきたことはどう見ても愛でも人生でもなく、社会への批判です。つまりここでは、このおかしな白昼夢の中で「ロックンローラーは愛と人生しか歌えない」とかこつけてこんな批判まともに聞きやしない社会に対して、「所詮俺らは愛と人生しか歌えないんだ」と自虐的に皮肉を述べているのだと考えられます。だから何歌ったって文句言うなよ?と。

他にも何通りか解釈できるんですが、「所詮」と役にわざわざ付けてあるのでこれじゃないかな…と個人的には。勿論人それぞれ解釈があっていいと思います!

そして「It could be the start of something new tonight.」。狂った常識を一度真っ新にして、今夜新しく始めよう。「Tokyo Daydream」との対比で「今夜はじめよう」と歌うことで、明確に今の社会から遊離することを示しています。昼に眠り夜に始める、として、昼夜逆転してあるところもポイント。とことん今の社会の常識から切り離して歌詞が描かれています。こういうところもいちいちオシャレでかっこいい。

東京の狂った夢想から目を覚ませ。この曲の主題とも言える、King Gnuからの痛切なメッセージ。

 

2番でも、おかしな「Slumberland」の現状を斬り裂きます。

 


ド派手に着飾ればセンセーション
中身二の次TVステーション
すっからかんなセレブレーション
素っ裸で今夜のシュミレーション

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

ここでは、韻を踏みながら世間を批判。もっとも、全部「〜ation」で終わる単語だから当然っちゃ当然なんですが。

1番でも述べられているように、ド派手に装飾してしまえばどんな事実もセンセーション(大事件)になる。そんな、見かけや利益だけを気にして中身なんか二の次のテレビ局を徹底的に批判。「セレブレーション」は祝賀のことです。それも見かけだけで中身はすっからかん。

最後のだけちょっと浮いてる感じがしますが、サビで歌われている通りあくまで「ロックンロール」として世間を批判しているので、ロックンロールのファンキーさをここでぶっ込んで来たのかな…と個人的には考えています。

 

“正直者は馬鹿をみる”
ディスるだけのアンチヒーローを射る
私腹を肥やす足長親父
子供を騙してはメイクマニー

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

ここも社会の惨状を羅列。

「ディスるだけのアンチヒーロー」という表現が難解ですが、あくまで「ヒーロー」とみなされていることから、ここでは「社会体制を批判する(だけの)英雄」を指していると捉えることができます。この曲を歌っているKing Gnuもまた「アンチヒーロー」にあてはまるでしょう。それを簡単に射てしまうのがこの「Slumberland」だと。「私腹を肥やす足長親父 子供を騙してはメイクマニー」は文字通りです。

そして1番同様のサビへ。歌詞の構成自体は1番と2番で大きくは変わらないように思います。

そして新たな展開のCメロへ。

 


 

擦れて溶けたビロード
からは露わ傷を披露
けれど血は出ぬ我が身
中身が空っぽの強み、伴う痛み
来た道振り返り生まれる弱み
寄せては返す人の波
それでも繰り返す日々の営み

擦れて溶けたビロード
見事に露わ傷を披露
けれど血は出ぬ我が身
中身が空っぽのお詫び
のらりくらり都会暮らし

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

ここではこれまでの社会批判、人々への糾弾の箸休めとして、主人公の心情吐露がなされています。ラップ調でこれでもかと韻を踏みつつ、「アンチヒーロー」として生きる苦しさを吐露。

社会との摩擦で傷つこうとも、自虐的に捉えて中身が空っぽである以上、出血のように目に見える形で苦しさが現れることなどない。別に失うものなんてない。そう歌っています。

そのお詫びが、「Slumberland」での都会暮らしを送ること。つまりあくまで不本意ではあるけれど、この狂った国で日々の営みを送るしかないという現実を強調しているわけです。

ここで「のらりくらり都会暮らし」が「お詫び」であると改めて都会暮らしをマイナスに捉えなおした上で、ラスサビへと移行します。

 

“Wake up people in Tokyo Daydream.”

Open your eyes, open eyes wide.
目を覚ませ、目を凝らせ
Rock'n roller sing only ‘bout love and life.
所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ

“Wake up people in Tokyo Daydream.”

Open your eyes, open eyes wide.
目を覚ませ、目を凝らせ
It could be the start of something new tonight.
今夜、真っ新から始めよう

King Gnu 「Slumberland」 作詞 常田大希

「Wake up people in Tokyo Daydream.」 お前らの生きる東京という街は狂っている。だから「目を覚ませ、目を凝らせ 今夜、真っ新から始めよう」。どんな曲よりも狂っていて、猟奇的で、それでいてどんな曲よりも現実を見つめた一曲「Slumberland」。とにかくかっこいいのでまだ聴かれていない方は必聴です!

 

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終わります!

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